1969
Sail In My Boat : Gordon Haskell
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ゴードン・ハスケルのファースト・ソロ・アルバム。
本アルバムをリリースする前に参加していたフラ・デ・リーズの発掘ライヴ音源を聴くと、もう少しロックっぽい(笑)というか、ソウルフルな音楽を演奏しているのだが、本作品はそんな名残が微塵もないポップなヴォーカル・アルバム。 そのポップさも、あざとさの欠片も感じられない直球勝負の歌謡曲といったところ。
いくら人脈が乏しかったとはいえ、このような作品をリリースしているハスケルをクリムゾンにさそったフリップもフリップだが、それを受け入れたハスケルもいかがなものかと思う。 人間断るべきところは断るべきだとつくづく考えさせられる作品である。
ハスケルのヴォーカルは1990年代以降の作品のように伸びや渋みはなく、稚拙さを感じる。 逆に売れ無いながらも地道なライヴ活動を続けたことによって今のスタイルを築くことができたのであろう。
(追加:2003年12月10日)
1974
Let The Days Go By : Bryn Haworth
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Bruce Rowland - Drums, Percussion, Rola-bola & marimbas
Graham Maitland - Fender piano, Wurlitzer piano, accordion
Gordon Haskell - Bass
Bryn Haworth - Gibson mandolin, Gibson mandcello, Harmonica, 12 Strings & Electric
guitars, Mandocello, Harpolek, Tambourine, Leslie slide guitar and acoustic slide guitar,
Mandolins
Terry Stannard - Drums
Pete Wingfield - Piano, Wurlitzer piano, Grand piano
Mel Collins -
Alt Sax, All horns,
Bruce - Drums
Gordy - The bass
Bugs Pemberton
Freebo - and his fretless bass
Kevin Kelly - Fender bass
John Porter - Bass
Terry Stannard - Drums
Rick Wolff - Chinese flutes
ブリン(ブライアン?)・ハワースのフラ・デ・リーズ解体後のファースト・ソロ・アルバム。
本作品を一言で言うと、イギリス人が演奏したカントリー・ミュージックということになる。 とは言え、ブリン・ハワースの代名詞とも言えるスライド・ギターは後の
『 Grand Arrival 』
程顕著ではなく、牧歌的ではあるが多少中途半端なところもあり、ターゲットが曖昧であったと言わざるを得ないと思う。
フラ・デ・リーズの盟友(笑)ゴードン・ハスケルが、本作品では5曲でベースをプレイしている。 当然のことながら、これぞハスケル、などどいうプレイはなく、ごくごく平凡なセッションを淡々とこなしているにすぎない。 とは言え、クリムゾン脱退直後の数少ないセッションとしてクローズ・アップされることが多かった作品であるだけに、2003年に紙ジャケで再発されたことはめでたいことである。
(追加:2003年4月10日)
1977
Golden Flight : 山口百恵
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Gordon Haskell - Bass, Backing vocal
Jim Russell - Drums, Percussion
Hiroshi Kato - Guitar, Percussion, Backing vocal
Ray Warleigh - Alto sax, Baritone sax
Alan Fealdman - Piano, Organ, Clavinett, Arp.Synthesizer
Gary Bell - Backing vocal
Ken Freeman - Freeman Strings Synthesizer Mark III
Clarie Hamill - Backing vocal
John Shearer - Percussion
B.J. Cole - Steel guitar
Henry Lowther - Trumpet, Flugal horn
Dave Hancock- Trumpet, Flugal horn
Bob Efford - Tenor sax
Cliff Hardie - Trombone
Stan Sulzman - Tenor Sax
山口百恵のロンドン・レコーディングのアルバム。 ハスケルの本作品への参加は、当時JOEというバンドを一緒に組んでいた加藤ヒロシが本作品のプロデュースをしたことによるものと思われる。 ロンドン=ロックという公式が前提にあったのか、シングルとして先行リリースされていた ” Imitation Gold ” もシンセ中心のアレンジから無骨なアレンジに変更されており、全体に地味な印象を受ける作品。 ハスケルはプロダクション・アシスタントとしてもクレジットされているが、ベースの演奏からして地味で存在感はゼロに近い。 中古盤で1,000円程度 (しかも with obi ) で入手可能なLPのブックレットには、カリフォルニアチックな緑色のTシャツを着たひげ面のハスケルがにっこりと微笑む写真が収録されている。 CD化もされているが、上記理由で中古LPでの購入がお勧め。 (追加:2002年7月25日)
1979
Serve At Room Temperature : Gordon Haskell
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Graham Jarvis : drums
Simon Morton : drums, persussions [ I Need Your Love So Much ]
Mike Moran : keyboards
Paul Westwood : bass
Alan Jones : bass [ Breathing In, Silhouettes, People Don't Care ]
Mart Jenner : guitar
Bill Kimber : back vocals
ライナーによれば1979年にレコーディングされた作品で、ハスケルの3作品目のソロとなる。 1997年に日本限定で発売されているがその経緯・詳細は不明。
作品の傾向は最近のソロ・アルバムに近く、ハスケルがこの時期既にパブ・ロッカーとしてのキャリアを歩み初めていたことがわかる。 90年代以降ソロ・アルバムを順調にリリースする機会に恵まれるようになるまでの10年以上、ハスケルは地味にライヴ活動を続けていたのであろうか。 異常なまでに詳しいハスケルのヒストリーとディスコグラフィーがついたライナーは素晴らしく、それだけでも購入する価値のある作品だと思うのだが、そんなライナーにさえ80年代のハスケルの活動については記述がほとんどない。 本当に何をしていたのだろうか。
音質は素晴らしく、それなり以上にお金をかけてレコーディングされたか、リマスター作業が丁寧に行われたかのどちらかだと思う。 ちなみにリマスターを行っているのはトニー・アーノルド。 思い出したかのようにクリムゾン関連作品にクレジットされる不思議な人である。
(追加:2004年12月25日)
1990
Hambledon Hill : Gordon Haskell
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Gordon Haskell - guitars, bass guitar, vocals, dobro,
keyboards
Paul Beavis - drums, percussion
Steve Darrell-Smith - keyboards
Chris Winter - keyboards, brass, woodwind, mandolin
Dennis Smith - keyboards
Alan Bariffi - electric guitar on 'The Right Time' and 'Mumbo Jumbo'
Steve Cowen - electric guitar on 'The Other Side' and 'Walkin in a Wilderness'
Tommy Banister - pedal steel guitar
Mickey Fudge - backing vocals
Tony Arnold - slide guitar
ハスケル、久々のソロ・アルバム。
でも実際のところ、リリース時にはほとんど話題にならず廃盤、私が聴いたのも1993年にVoiceprintから再発された後だった。
中途半端なポップスが多く、散漫な作品となってしまっているのが残念である。 よくよく聴いてみれば、後のパブ・ロック路線の楽曲もあるのだが、売り出す側、そしてハスケル自身にも迷いがあったのか、狙いがよくわからない作品になってしまっている。 特に不必要なまでにエコーをかけたようなアレンジの曲は、聴いていて疲れる。
本作品については、表舞台へ復活するためのリハビリ、と考えるのが適切だと思う。 ”
How Wonderful You Are ”の大ヒットへの道も、ここから始まった。
(追加:2006年2月25日)
1992
Its Just A Plot To Drive You Crazy : Gordon Haskell
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All Guitars and Vocals, Gordon Haskell
Shaker on ("You're What I Want"), Paul Beauis
ゴードン・ハスケルのアコースティック・ソロ・アルバム。
1990年代になって、再度アルバムがリリースされるようになったハスケルだが、この時期はまだパブ・ロック路線にはなり切れておらず、位置付けが曖昧な作品をリリースしていた。
このアコースティック・ソロも、売れ線を狙った爽やか路線でもなく、かといってSSW路線でマニアックな支持を受けるような作品でもなく、ターゲットが明確ではない。
それにも増して可哀想なのは、この作品を購入する9割以上の人がクリムゾンが好きな人で、かつそのような人にとってこの路線はほとんど興味が無いことである。
この後、” How Wonderful You Are ” の大ヒットまで約10年。 努力の人だとしみじみ思う。
(追加:2007年12月10日)
1996
Butterfly China : Gordon Haskell
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パブ・ロックに移行する前のゴードン・ハスケルのソロ・アルバム。
5分、6分を超える曲が殆どなのに加え、安易なポップ路線の曲はなく、重厚な作品に仕上がっている。 非クリムゾン的なサウンドではあるが、ヴォーカル作品としての完成度の高さは、ハスケルのソロの中でも突出している。
本作品の完成度の高さがそのままセールスに結びついていたら、ハスケルのパブ・ロック路線への移行は更に遅れてしまっただろう。 今だからこそ、この段階では売れなくて正解、とは言えるが、不遇な90年代を過ごしていたハスケルの経済状態は、さぞかし辛いものだっただろう。
ライナーに記載された、「 Thanks to all the Rock Stars who showed me what
happens to you if you get too rich 」 という一文が泣かせる。
(追加:2008年9月10日)
1997
Reflections : Les Fleur De Lys
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ゴードン・ハスケルが在籍していたフラ・デ・リーズのシングルを中心とした編集盤。 ハスケルはフラ・デ・リーズに1966年にベース奏者として途中参加している。。
演奏は達者で、オリジナルもカヴァーのアレンジもコンパクトにまとまっており、格好良い。 60年代のビート・ロック・バンドに精通しているわけではないが、当時売れなかったのが不思議なほど完成度は高いと思う。
Voiceprint
から発売されたウォリアーズの発掘ライヴと比べると、バンドとしての完成度は雲泥の差がある。 もちろん本作品はスタジオ音源集なだけに、一概に比べることはできないが。
ライナーにはハスケルによる回顧録が掲載されており、その中で、「
it really was the happiest time in my life
」とコメントされている。 受験英語に出てきそうな程オーソドックスな強調構文で述べる程、ハスケルにとっては幸せな時代だったのであろう。
この後フリップにそそのかされてクリムゾンに参加することなく音楽キャリアを積んでいれば、また違った人生だったのかもしれない。
(追加:2005年4月10日)
2000
All In The Scheme Of Things : Gordon Haskell
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ゴードン・ハスケルのソロ・アルバムの中で、もっとも中途半端な作品だと思う。
まず、ジャケットが良くない。 もう少し時間をかけるか、別なデザイナーをつれてくるだけで、安っぽさを払拭できたはずだ。
そしてこのジャケットのイメージ通り、音も安っぽい。 ビートルズ・ナンバーのカヴァーも安易なだけだし、後にライヴの定番となる
”There Goes My Heart Again ”
もここでは冴えない。 この後、” How Wonderful You Were ”
が大ヒットしたから結果オーライなのかもしれないが、よくこれだけリスクの高い作品をリリースしたものだと思う。
(追加:2006年12月10日)
2001
How Wonderful You Are : Gordon Haskell
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2001年末、全英で大ヒットしたゴードン・ハスケルのシングル。
よれよれになったシングル・レコードの袋を模したジャケットもセンスよく、格好良い。
” How Wonderful You Are ”
は、最近のハスケルの路線そのままの、所謂パブ・ロック。 こういった曲が21世紀を迎えてから大ヒットするイギリスの音楽シーンの奥の深さをあらためて認識することができる。 スコッチをロックで飲みながら聴くのに最適、などというと余りに陳腐な表現なのかもしれないが、正にそういった種の音楽。
” A Little Help From You ”
は、多少アップ・テンポながらも、やはりバーの片隅かなにかで演奏している光景が目に浮かぶような作品。 意図的なスクラッチ・ノイズも嫌みになっていない。
2曲ともハスケルによる作品。 イギリスの音楽マーケットも今や日本を下回る規模しかないだけに、大ヒットしたとはいえ、どれだけの印税がハスケルの手元に入るのかは疑問が残るが、それでも元クリムゾンのメンバーが脚光を浴びることはとても喜ばしいことだと思う。
(追加:2002年1月10日)
2002
Harry's Bar : Gordon Haskell
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All songs written by Gordon Haskell
Produced by Gordon Haskell
” How Wonderful You Are
”
の大ヒットをひっさげリリースされたゴードン・ハスケルのソロ・アルバム。 人生何がおこるか本当にわからないものである。 継続は力なり。 浪人してまでZ会の添削問題をため込んだ私には偉そうなことは言えない。
パブ・ロックという芸が完全に確立しており、中途半端にさわやか路線の曲が収録されていたり、ミエミエのカヴァーが収録されていた過去のソロ・アルバムより完成度は高いと思う。 ただ、駄曲が無い反面、”
How Wonderful You Are ” が12曲連続して収録されているように思えるところがあるのが残念。
シングルが大ヒットしたとはいえハスケルの経済事情が画期的に向上することはないと思うが、生活が良くなったことで作風が変えたりせず、この路線を継続していってほしいと思う。
(追加:2002年4月10日)
There Goes My Heart Again : Gordon Haskell
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やはり柳の下にいつも泥鰌がいるわけではなかった。
” How Wonderful You Are ” の大ヒットの勢いにのって 『 Harry's Bar 』
からシングル・カットされた本曲は、見事にこけた。 ご丁寧にも
「 radio edit 」 などとカットしたところが余計悲しい。
『 Harry's Bar 』
の時にも記載したが、芸として完成度が高い反面、ワンパターンに陥ってしまっているところが問題だと思う。 しかもジャケットまで
” How Wonderful You Are ”
と同じくシングル・レコードの袋を模しているデザインで、これでは売れ線を狙っているだけに思われても仕方がないと思う。
このようなシングル・カットは、当然ハスケルの意向というよりレコード会社の意向なわけだが、やはり
” How Wonderful You Are ”
がヒットした時のように手放しで喜ぶことはできない。
(追加:2002年6月10日)
2004
The Lady Wants To Know : Gordon Haskell
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Lead vocals on all tracks by Gordon Haskell
Bass : Steve Pearce
Drums : Ralph Salmins
Percussion : Bosco d'Oliviera
Congas : Ralph Salmins
Fender Rhodes : Peter Murray
Keyboard : Tony O'Malley
Guitar : Robbie Mclntosh, Jim Mullen
Spanish Guitar : Hamish Stuart
Alto Sax : Nigel Hitchcock
Tenor Sax : Nigel Hitchcock, Paul Yeung
Trumpet : Martin Shaw, Paul Spong
Trombone : Neil Sidwell
Harmonica : Julian Jackson
First Violin : Gavyn Wright
Violins : Patrick Kierman, Perry Montague-Mason, Julian Leaper
Viola : Bruce White
Cello : David Daniels
Backing singer : Emma Stuart
Backing vocals : Hamish Stuart, Fiona Campbell
ゴードン・ハスケルの 『 Harry's Bar 』 後の作品。
パブ・ロックを突き詰めたら、何故かムード歌謡になってしまった、という不思議な作品。 プロダクションに金をかけることができた結果だと思うが、あらぬ方向に走ってしまっている。
中年(私もです)が若い女性を口説くときに唄うような気取った作品ばかりで、ハスケルの本来望んでいる世界ではないはずだ。 ハスケルのヴォーカルの巧さは際立っているだけに、なんとも残念。
(追加:2009年7月12日)
2005
The Road To Harry's Bar : Gordon Haskell
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Gordon Haskell - vocals, acoustic guitar
Hamish Stuart - guitars, backing vocals
Jacek Piskorz - keyboards
Damian Kurasz - acoustic and electric guitars
Piotr Zaczek - fretless bass guitar
Marek Podkowa - tenor saxophone
Robert Luty - drums and percussions
Kasia Skrzynecka - guest vocals on "All In The Scheme Of Things"
Filmed & Recorded at Theatr Slaski im. St. Wyspianskiego, Katowice, June 28th 2005
ゴードン・ハスケルの2005年ポーランドでのライヴDVD。
なぜポーランドなのか、と最初は思ったのだが、映像を見ているとポーランドで人気が高いのではないかと思えてきた。 オペラが似合いそうな格式高い劇場で、地元ミュージシャンがバックをつとめ、Kasia Skrzynecka
というちょっと色っぽいシンガーとのデュエットもあり、周到に用意されたライヴであることがよくわかる。
そして、そんな恵まれた環境が功を奏したのか、完成度の高い演奏が繰り広げられている。
ライヴの音声が時々乱れる難点もあるが、” How Wonderful You Are
”のプロモーション・ビデオまで収録されており、お買い得度の高い作品だと思う。
ちなみに、良くも悪くもハスケルはこれからも 『 Harry's Bar 』
というタイトルを使い続けていくのだろうと思っていたら、同タイトルの自伝までリリースされた。 幼年時代からクリムゾンでギャラが払われなかったことまで、結構細かく記載されていて面白い。(全部読めてないけど)
(追加:2006年6月10日)
2010
One Day Soon : Gordon Haskell Hionides
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Gordon Haskell, bass guitar, guitar,
vocals
Bob Kennedy, electric guitar, piano, drums
Except ' One day soon ', featuring Marek Podkowa -
saxophone, keyboards, Damian Kurasz - electric guitar, Piotr
Zaczek - Bass guitar and Jan Mlynarski - Drums.
ゴードン・ハスケルの、現段階での最新スタジオ・アルバム。
円熟した作品、の一言に尽きる。 私がハスケルの作品に接する理由は、クリムゾンが好きだからというシンプルな理由以外無い。
ハスケルにとっては望ましくない購買層なのだと思うが、一度聴き始めるとどっぷりと浸ってしまう。
ハスケルのヴォーカル、楽曲の良さそうさせているのだと思う。
興味のあるなしは分かれるかもしれないが、好き嫌いが別れない作品というのは、中々作れるものではない。
(追加:2014年3月25日)
2013
You've Got To Earn It : Les Fleur De Lys
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ゴードン・ハスケルがかつて在籍していたフラ・デ・リーズのコンピレーション。
1997年にも 『 Reflections 』 というコンピレーションが発売されているが、収録曲が異なっている。
JRiver Media
Center でリッピングした際の曲順とクレジットが異なっていたため、歌われている内容から JRiver Media Center
が引っ張ってきた曲順が正しいと思い記載してたが、他にも違いがるかもしれない。 この辺りの適当さはこうしたコンピレーションならではであるが。
ハスケルがクレジットされている曲は、”
I've Been Trying
” を除くと、当時のブリティッシュ・ビート・バンドの中でも激しめで、若かったとはいえハスケルにはちょっと無理があるように思える。 それよりも
” I've Been Trying ”
のようなゆったりとした曲での方がハスケルの声がしっくりしているのだが、それはパブ・ロック路線以降のハスケルを知るからであり、当時はそんなこと関係なく楽しんでいたのかもしれない。
(追加:2020年5月10日)