『 Epitaph 』 は、先ず2枚組として Volume One と Volume Two
がリリースされた後、DGMから通販で Volume Three と Volume Four
を含めた4枚組がリリースされ、さらに日本においてのみ Volume
Three と Volume Four を2枚組とした 『 Epitaph Volumes Three & Four 』
がリリースされている。
インプロ度が少ない分曲の重複度が高く、『 The Great Deceiver : Live 1973-1974 』 と比べ連続して聴いているとちょっと飽きてくるところもあるが、それでもやはり貴重な演奏の連続。 この演奏を聴くことができることを素直に喜ばなければならない。 ただ、フェスティバル等で他のバンドと共演した
( =演奏時間が短かく曲数も少ない ) Volume Two や Volume Three は完全収録されているものの、単独でのライヴであった
( =演奏時間が長く曲数も多かったはずの ) Volume Four が、音質の問題でカットされた曲があり完全収録されていないのが残念。
ブックレットは相変わらず豪華で、貴重な写真や当時のメンバーやクルーのコメントてんこ盛りで資料性も高い。
Robert Fripp guitar
Ian McDonald woodwind, keyboards, mellotron, vocal
Greg Lake bass guitar, lead vocal
Michael Giles drums, percussion, vocal
Peter Sinfield words & illumination
Mars ( Holst arr. Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) / マーズ
BBC のラジオ・セッションから4曲。
最初の2曲はファースト・アルバムのレコーディング前の5月6日録音で、5月11日放送、後の2曲は8月19日録音で9月7日放送。 ともにスタジオでの収録で、ダヴィングが施されている。(特に”In The Court Of The Crimson King” でのレイクのヴォーカルに顕著)
” 21st. Century Schizoid Man ”
は、最初期のバージョンということもあり、他のライヴ・テイク、スタジオ・テイク比べると、フリップのギター・ソロが稚拙であること、フリップのギター・ソロ後にマクドナルドのサックス・ソロ・パートがあること、ユニゾン・パートのテンポが遅いこと、の3点が大きく異なる。 当時本曲のようなハードな曲においても、主導権を握っていたのがマクドナルドであることがよくわかる。
本曲はイタリアの海賊盤からの復元。
” In The Court Of The Crimson King ”
は歌詞の違いが散見するものの、後の演奏とアレンジは殆ど同じ。
前曲と本曲を聴くと、マクドナルド主導で進んいたクリムゾンに次第にフリップ色が濃くなっていき、フリップ色が現れた曲
(” 21st. Century Schizoid Man” )
は大きくアレンジが変わり、フリップ色が出なかった曲 (” In The
Court Of The Crimson King ”)
はアレンジが変わることなく演奏され続けたとも想像できる。
本曲はBBCのマスターからの復元。
多分シンフィールドの意向は殆ど反映されていないであろう
” Get Thy Bearings ”
においても、曲の主導はマクドナルドのサックス・ソロ。 ラストにフリップのダウナーなギター・ソロが始まりかけるが、中途半端にフェード・アウト。
本曲はラジオ放送のエア・チェックからの復元。
” Epitaph ”
もアレンジの大枠は後の演奏と殆ど同じ。 当時のラジオ番組がどのような性格のものであったかは定かではないが、本曲に限らずスタジオでの編集はかなりなされている。
” In The Court Of The Crimson King ” と同じくBBCのマスターからの復元。 それだけに音は良い。
11月21日のニューヨークのフィルモア・イーストでのライヴが3曲。 本ライヴはマイケル・ジャイルズ所有のカセットを復元したもの。
” A Man, A City ” は、『 In The Wake Of Poseidon 』 収録の ” Pictures Of A
City ”
の原曲。 大枠は既に完成しているものの、細かなアレンジ、編曲は異なる。
In The Court Of The Crimson King ( McDonald, Sinfield ) / クリムゾン・キングの宮殿
Drop In ( Fripp, Lake, McDonald, Giles ) / ドロップ・イン
A Man, A City (Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield) / ア・マン・ア・シティ
Epitaph ( Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) / エピタフ(墓碑銘)
21st. Century Schizoid Man ( Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) /
21世紀の精神異常者
Mars ( Holst arr. Fripp, Lake, McDonald, Giles, Sinfield ) / マーズ
12月15日のフィルモア・ウェストでの、このラインナップでの最後のライヴ。 ミキシング・ディスクから録音されたテープから復元されているだけに音質は良好。
” In The Court Of The Crimson King ”
は、スタジオ・テイクとほぼ変わらず演奏されていることに、先ず何よりも驚く。 Volume
One
においても述べたとおり、本曲が一貫してマクドナルド主導のもと演奏され続けたことが、アレンジの変更が少なかった理由であると思われるが、とは言えここまで完璧にスタジオ・テイクと同じように演奏できた当時のクリムゾンの演奏力には本当に驚く。
” Drop In ” は、『 Islands 』 収録の ” The Letters ”
の原曲。 実際には最後にフリップのギター・ソロがあるらしいが、途中でテープが切れるため、シングルトンによって全て削除されている。 余計なことをしたものである。 演奏はマクドナルドのサックス・ブロウ中心であまり面白くない。 また、歌詞にシンフィールドがクレジットされていない。
” A Man, A City ” は、Volume One
収録の11月29日の演奏と同じく全体にラフ。 ラストにヴォーカル・パートが挿入されるなどアレンジが確定していないことがよくわかる。 アメリカ・ツアーを行わずリハーサル、もしくはレコーディングを行っていたら、本曲が完成していたのみならず、解散もなかったのではないかと想像できる。
” Improv including By The Sleeping Lagoon ”
もやはり曲として未完成。 曲半ばから最後まで続くマイケル・ジャイルズのドラム・ソロも、あまり惹かれるものではない。 ジャイルズのドラムの魅力は他の楽器と絡んだ時にはじめて活かされるのであって、ソロだけではちょっと退屈。 ドラムの奏法以前に、ブルーフォードとの決定的な違いはここにあると思う。
” Mars ”
は、録音の悪さも手伝ってメロトロンの音が潰れまくり、不気味度は最高レヴェルだと思う。 ユーロ・プログレでのメロトロンの対極に位置する音というか、メロトロン幻想をぶちこわす音というか、演奏の凄まじさを良い意味で補う音の悪さ。