...It Is For You, But Not For Us ( Cross, Fripp, Wetton, Bruford ) / ・・イット・イズ・フォー・ユー・バット・ノット・フォー・アス
CD Three: ...Acts of deception (the magic circus, or weasels stole our fruit) / ・・・アクツ・オブ・ディセプション(ザ・マジック・サーカス・オア・ウィーゼルズ・ストール・アワー・フルート)<・・・詐欺行為(魔法のサーカス、もしくは我々の果実を盗んだ者>
Pittsburgh, Pennsylvania - Stanley Warner Theatre : April 29th, 1974
Walk On ... No Pussyfooting ( Fripp, Eno ) / ウォーク・オン・・・ノー・プッシーフッティング
The Great Deceiver ( Fripp, Wetton, Palmer-James ) / グレート・ディシーヴァー
『 The Essential King Crimson : Frame By Frame 』 の翌年にリリースされた、いわゆる第3期クリムゾンのライヴCD4枚組。 フリップ自身ライナーに記載しているとおり、『 The Essential King Crimson : Frame By Frame 』 の姉妹編として位置づけられる作品。
海賊盤に収録されていた音源もあるものの、圧倒的なまでに改善された音質で至福の約5時間を過ごすことができる。
日記、ライナー等文書面での資料も充実しており、特にクロスのコメントは、涙無しでは読めない程、当時のクリムゾン内での音楽的力関係が浮き彫りになる。
73年秋、74年のラスト・ツアーを中心にした演奏は凄まじく、(至福の時と言いながらも)通して聴き終わった後は文字通りの疲労感に襲われる。
David Cross (violin, mellotron, electric piano)
Robert Fripp (guitar, mellotron, electric piano)
John Wetton (bass guitar, vocals)
Bill Bruford (drums, percussion)
CD1
CD1は、『 USA 』
の音源でもある、プロヴィデンスでのライヴ。 続くCD2を併せ、(多分)ライヴ全体を収録している。
” Walk On ... No Pussyfooting ” は、フリップ&イーノの ” The Heavenly
Music Corporation ”
からの抜粋。 この時期の定番のコンサートの始まり方。
本ライヴにおける ” Lark's Tongues In Aspic, Part Two ”
は、本曲の多くのテイクの中でもベストとして挙げることができると思う。 クロスのヴァイオリン・パートに多少頼りないところがあり、脱退が予定されていたこと、及び
『 USA 』
におけるクロスの演奏がカットされていたことが頷けるところもあるが、それをさっ引いても凄まじい演奏である。
” Improv - A Voyage To The Centre Of the Cosmos ”
は、インプロ。 一定のリズムの上をフリップのギターが這い回る展開が、中間部でベースをバックにクロスのヴァイオリンとフリップのメロトロンが絡み合うパート、4人がフリーに演奏するパート、メロトロンを中心としたハードなパートと15分にも及ぶ。
” Easy Money ” は、『 USA 』
と異なりフェイド・アウトすることなく、最後まで収録。 ヴォーカル、ギターに絡むブルーフォードの、特にハイハットのアクセントの付け方が格好良い。
” Improv - Providence ” も、『 Red 』
収録バージョン異なり、ラスト約2分が省略されていない。 前半部と
( 『 Red 』 で省略されていた )
ラストのパートでのクロスのヴァイオリンも素晴らしいが、やはり中間部での一丸となったハードは演奏パートが何よりも素晴らしい。
最初の2曲はプロヴィデンスの続き。
” 21st. Century Schizoid Man ” は、『 USA 』
のテイクと異なり、切れのないクロスのヴァイオリンによるリフが、逆に3人の重厚な演奏を引き立ている。
” Walk off from Providence... No Pussyfooting ”
で、コンサートは終了。
ここから本BOXセットの中で最初期となる、グラスゴウでのライヴとなる。 セカンド・アルバムの曲を入れる等、意識的に選曲を変えている。 ” Sharks' Lungs In Lemsip ”
は、次曲の前奏曲。 スタジオにおけるミューアのパートに相当するようなもの。
” Larks' Tongues In Aspic, Part One ”
は、メイン・リフのパートにおけるブルーフォードのドラムに切れが無く、もったりとした印象を受ける。 とは言え、クロスのヴァイオリンもこの時期まだ元気だし、中間部のウェットンのベースにフリップのギターが絡んでくるところは、聴いていてゾクゾクしてくる。
” Book Of Saturday ”
では、スタジオ・テイクと同じくフリップの多彩なバッキングを楽しむことができる。 反面特にライヴで演奏されてもさほど面白くない。
で、” Easy Money ”
の後半部を独立させてタイトルを付けたのが、” ...It Is For You, But
Not For Us
”。 世の中には「よいとこ取り」という言葉だけでなく、「悪いとこ取り」という言葉もあることがよくわかる。 フリップのソロには多少惹かれるところもあるが、クロスのソロは飽きてくる。
CD3
1974年のピッツバーグでのライヴ。 ラジオ番組で放送されたこともあり、海賊盤で多く出回った公演である。 特筆すべきはやはり
” Doctor Diamond ” の収録。 ” Walk On ... No Pussyfooting ” は、フリップ&イーノの ” The
Heavenly Music Corporation ” からの抜粋。
” The Great Deceiver ”
は、一応本BOXのタイトル曲。 早いパッセージも見事に演奏されており、スタジオ・テイクよりも切迫感がある。
前曲から繋がって演奏される ” The Talking Drum ”
は、観客が手拍子でついてくるのも面白いが、それ以上に徐々に激しくなる演奏についていけなくなっていくところがさらに面白い。
” Larks' Tongues In Aspic : Part Two ( Abbreviated ) ”
は、編集盤得意の 短縮版であることが残念。 『 The
Essential King Crimson : Frame By Frame 』
リリース時に短縮版を収録したことに対しての批判が多く出たことに対しての、フリップからの悪意をもった返答のような気が
( フリップのライナーを読んでいると ) する。
本テイクにおけるウェットンのバリバリ度は特筆ものであるだけに、つくづく残念である。
” Improv - Is There Life Out There? ”
は、本BOXに収録されているインプロの中で一番激しく、展開も目まぐるしく、個人的には一番気に入っている。 途中何度か静寂したパートを迎えるが、中途半端なクロスのヴァイオリン・ソロへ逃げることなく激しいパートに戻り、緊張感を保ち続ける。
本曲終了後、1分間の無音パートが入り、さらにフリップのコメント、サウンド・チェックもどきの音が続く。 この部分と
” Applause & Announcement ” をカットすれば、” Larks' Tongues In Aspic :
Part Two ”
は完全収録できたはずで、繰り返しになるがやはり同曲の短縮収録はフリップの悪意によるものとしか思えない。
CD4
1974年のトロントでのライヴ。
” Improv - The Golden Walnut ”
は、過激な前半と大人しめの後半で極端なまでに曲調がかわる。 前半部はウェットンとブルーフォードの激しい演奏と、それに扇動されたかのように切り込んでくるフリップのギターも激しくて素晴らしい。 反面後半は若干だらけた演奏となり、尻窄みなまま終了してしまう。
” The Night Watch ”
はイントロでの装飾音やはりスタジオ・テイクと比べるとしょぼい。 後半部はフリップのギターにつっかかってしまう所が多く(わざと?)、聴いていてハラハラしてしまう。
最後は1973年のチューリッヒでのライヴ。 比較的インプロ中心の選曲。
” Walk On ... No Pussyfooting ” については割愛。
” Improv - Some Pussyfooting ”
は次曲のイントロのような曲。 スタジオ・アルバムにおけるパーカション・パートの代わりといったところか。 ひねり出されてくるようなフリップのギターが印象的である。
” Larks' Tongues In Aspic : Part One ”
は、クロスのヴァイオリンが元気。 ブルーフォードのドラムにも切れがあり、全体にこなれた演奏。
ところで本BOX、CD1と2においては 「 Aspic 」 と 「 Part
」の間が 「 , 」 なのに対し、CD3と4においては間が 「 : 」
になっている、ってあんまり関係ないか。
” Improv - The Law of Maximum Distress : Part One ”
では、クロスのヴァイオリンとフリップの和声を無視したメロトロンが不気味な雰囲気を出している。 後半ブルーフォードが一定のリズムを刻む迄は特に不気味。
” Improv - The Law of Maximum Distress : Part Two ”
は、フリップのライナーによれば、テープのトラブルによって録音が中断された前曲の後半。 フリップはメロトロンではなくギターを演奏しているものの、ソロというよりコードのかき鳴らしにすぎず、あまり面白くない。