| 
 | 
        
  キング・クリムゾンのドキュメンタリー作品 +α の国内ボックス作品。
  ドキュメンタリーとしては当初 『 CosmiKc F*Kc 』 として制作が進んでいた作品が、『 In The Court Of The Crimson King    King Crimson At 50 A Film By Toby 』 となり収録されている。
  それ以外の映像としては、スタジオ・ライヴの 『 Tring : Live in the Studio 』 と 野外フェスの 『 Rock in Rio 』 が収録されており、各々単独作品としてリリースしても充分な程のクオリティの高さである。
   4枚のCDは、その編集と内容から2014年から2021年にかけて発表されたツアー・ボックス・シリーズと捉えられる内容である。 さしずめ  『 The Elements Of King Crimson    2022 Tour Box Deluxe 』 といったところか。 ただ、映像版として収録されていた 『 Tring : Live in the Studio 』 と 『 Rock in Rio 』 の音声版がまとめて収録されていないのは残念である。 いくつかの曲がバラバラに収録されているのだが、やはり完全版として聴きたかった。
  国内では、『 In The Court Of The Crimson King    King Crimson At 50 A Film By Toby 』 が収録されているディスクは 国内DVD のみ、『 Tring : Live in the Studio 』 と 『 Rock in Rio 』 が収録されているディスクは 国内DVD と 輸入Blu-ray が梱包されている。
  全体的な解像度や黒色背景に赤文字部分のチラつきが個人的には気になったため、『 In The Court Of The Crimson King    King Crimson At 50 A Film By Toby 』 の輸入 Blu-ray も私は別途購入したのだが、当然そこには日本語字幕は無い。
Blur-ray 1 5.1 DTS-HD MA, LPCM Stereo
In The Court Of The Crimson King at 50
Excerpts From CosmiKc F*Kc
A 23 minute edit from the early version of the film.
Starless - The Final Performance
Live at Bunkamura, Tokyo, December 8, 2021
Trailers and Additional Short Films :
  Schizophonia
  Windows
  Raindance
  Official Trailer
In The Court Of The Crimson King at 50 の特徴は以下の通り。
  当初 『 CosmiKc F*Kc 』 というタイトルで制作が進んだキング・クリムゾンのドキュメンタリー映画は、最終的に 『 In The Court Of The Crimson King    King Crimson At 50 』 というタイトルで完成した。
  その過程で何があったのかは判らないが、本作品の中で監督のトニー・エイミスへのフリップの対応を見ていると、当初想定していた程の撮影協力が得られなかったのではないかと想像できる。
  メンバー変遷や、過去/現在のメンバーのインタビュー、ツアーの裏事情、病と向き合うビル・リーフリへの密着、そしてフリップのフィロソフィー語りと、起承転結はおろか各コンテンツのバランスも悪い。 この辺り、フィルムの断片をそのまま繋げることでストーリーに意味を持たせないようにしているんだと思う。
  後述する 『 Excerpts From CosmiKc F*Kc 』 の中で、ジャッコがエイミスに対して「フリップに依頼されたのに無視されている」という趣旨の発言をしている。 ここまで直接的では無いにせよ、観ているだけでエイミスの苦労は想像できる。
  エリック・タムによる 『 ロバート・フリップ キング・クリムゾンからギター・クラフトまで 』 にも、タムが博士論文のテーマにクリムゾンを選択しフリップに協力を依頼したところギター・クラフトへの参加を打診され、律儀に参加したら今度は無視された、という趣旨の記載がある。
  エイミスの最大の理解者はタムかもしれない。
  死を身近なものととして立ち向かっているリーフリンへのインタビューには心打たれる。
  またイアン・マクドナルドのインタビューは、その編集に負うところも大きいと思うがフリップに対する謝罪だけにフォーカスしており心が痛む。
  「 Absent from the film but noto forgotten 」として、亡くなってしまっているメンバー、在命のメンバーとともに、EGレコードの David Enthoven と John Gaydon の名前がクレジットされている。
  このクレジットにはフリップの強い意志が働いているものと思われる。
Excerpts From CosmiKc F*Kc について
  抜粋版でありながら、『 CosmiKc F*Kc 』 がテーマ毎に編集されていることが判る。
  製作/編集途中で放棄されたのかもしれないが、これはこれで完成版を観たい。
Starless - The Final Performance について
  2021/12/8 のBunkamuraオーチャードホルでの演奏。
  現段階でキング・クリムゾンの最後のライヴで最後に演奏した曲となる。
  CD4 においてこの日のライヴがリリースされることがアナウンスされている。
Blur-ray 2 5.1 DTS-HD MA, LPCM Stereo
King Crimson - Tring : Live in the Studio
King Crimson - Rock In Rio
Gentlemen Of The Road
A 38 minute short film backstage with King Crimson
Tring : Live in the Studio の特徴は以下の通り。
  スタジオで収録されているものであるが、これはリハーサルではない。 タイトル通り「 Live 」であり、そのことは全員がライヴ同様の正装で演奏していることからも裏付けられる。
  更に後述する通りいつものライヴと違うポジショニングの結果、フリップが全員のメンバーの前から見られるようになっている。 メンバーにとってはある意味ライヴ以上に緊張感溢れる演奏だったのかもしれない。
2014年以降、私達が観ることができたキング・クリムゾンの姿はドラマー3人がフロントに座り、通常ならフロントの奏者が後列陣取る異様な姿であった。 しかし慣れとは恐ろしいものでこのスタジオ・ライヴでのポジショニング(フロント3人とバック5人が向き合う)には新鮮さを感じることができる。 勿論メンバーにしてみればリハーサル等で経験済みのことなのかもしれないが。
Rock In Rio の特徴は以下の通り。
  2019/10/6のブラジルのフェス、Rock In Rio に出演した際のライヴを収録した作品。
  野外ということに加え、観客の後方に光り輝く観覧車を観ながらの演奏は厳しかったのではないかと思ったが、そんなことはどうでも良くなる程の観客の熱狂に圧倒される。
  「キン」「クリ」「(ム)ゾン」という3拍子の掛け声で最初から盛り上がっていた観客の、特に ” The Court Of The Crimson King ”、” Epitaph ” そして ” 21st Century Schizoid Man ” での興奮度は尋常ではない。 とにかく唄う。 唄う唄う。 ヴォーカル・パートだけではなく、メロトロン・パートだろうが、 ” 21st Century Schizoid Man ” のメイン・リフだろうが構わず唄う。
  サビの節回しを少し変えて唄っていたジャッコが、観客がアルバム通りに唄うメロディの大きさに圧倒されて詰まってしまうし、” The Court Of The Crimson King ” で一旦終了したあともう一度始まるところでは「何だよもう一回唄えるのかラッキー」というポジティヴな反応だし、ドラムがドンドコ響いただけで大歓声だったり等々挙げればきりがない。
クリムゾンのライヴの楽しみ方を判ってなかったのではないかと、大袈裟ではなくクリムゾン観を覆される程の衝撃がこの作品にはある。
Gentlemen Of The Road の特徴は以下の通り。
  バックステージの様子と、イギリスからフランスへの移動( 2018/11/13から11/15と思われる )を収録した映像。
  リハーサルの様子や、ツアーを続ける中でのトラブル等、テーマがフォーカスされているだけに興味深い内容となっている。
CD 1 Music From The Film Soundtrack And Beyond
  *Previously unreleased on CD
  ゜Previously available for download at www.dgmlive.com, newly prepared and masteret for this compilation by David Singleton
CD1 の特徴は以下の通り。
  何よりも、” Lizard ” である。
  KC50 シリーズに収録されていたキース・ティペットによる ” Prince Rupert Awake ” と、2018年のライヴでの ” Bolero ” 以降の演奏を繋げて組曲としての ” Lizard ” を完成させている。
  また2018年7月のローマでのライヴのリリースがアナウンスされているのも嬉しい。
CD 2 Music From The Film Soundtrack And Beyond
  *Previously unreleased on CD
CD2 の特徴は以下の通り。
  ” Matte Kudasai ( alt.intro ) ” には、「from the forthcoming KC 50 Series 6CD set」とクレジットされている。
  ここから2019年に1年間に渡って DGM Live からダウンロード・リリースされた KC 50 シリーズを6枚組のCDとしてリリースするのだと推測することができる。
  尚、前半の26曲は2019年の南北米ツアーの、後半の24曲は2021年のツアーの Royal Package において各々3CDで配布されている。
CD 3 Music From The Film Soundtrack And Beyond
  *Previously unreleased on CD
  ゜Previously available for download at www.dgmlive.com, newly prepared and masteret for this compilation by David Singleton
CD3 の特徴は以下の通り。
  The League Of Crafty Guitarist の ” Darts ” の収録が唯一最大のウリであることは間違いない。
    TLOCG は、カセット・オンリーの 『 Get Crafty I 』 と、カセット & CD の『 Live II 』 の2種の限定版をリリースしており、『
    Live II 』 のみがその後 DGM Live からデジタル・リリースされている。 そして ” Darts ” はデジタル・リリースされていない
    『 Get Crafty I 』 に収録されている曲である。
  クレジットこそされていないが、是非 DGM Live からデジタル・リリースをして欲しい。
一方それ以外の選曲は、P4 や Double Trio Crimson 期の楽曲がそのまま収録されている等、現役感の低さを感じざるを得ない内容となっている。
CD 4 Music From The Film Soundtrack And Beyond
  *Previously unreleased on CD
  ゜Previously available for download at www.dgmlive.com, newly prepared and masteret for this compilation by David Singleton
CD4 の特徴は以下の通り。
  ” Breathless ” に 「 From Meltdown 3CD/Blu-ray. Live in poland 2018 」とクレジットされている。 メキシコでのライヴでポーランド、と判りにくいか、『 Meltdown  Live In Mexico 』 に収録されているボーナス・トラックの ” Breathless ” のことを表しいる。
  『 Meltdown  Live In Mexico 』 自体には、” Breathless ” がどこでの演奏かクレジットされていないため、図らずも本作品で明らかになったことになる。
最後に収録されている ” Starless ” には、「 from the forthcoming album Starless - The Final Concert. Live in Tokyo 08/12/21 」とクレジットされている。 一日も早くリリースされることを期待したい。
(追加:2023年3月10日)