1982/ 2/20 Agora, Columbus, United States New!
1981年の最後の3ヶ月を日本を含めたツアーに明け暮れたキング・クリムゾンは、3月からの 『 Beat 』 のレコーディングを前に北米、ヨーロッパで3週間のツアーを行っている。 本作品はその初日、オハイオ州で行われたライヴを収録している。
前年のツアー後に追加された新曲は ” Absent Lovers ” 1曲のみで、しかも同曲は最終的に 『 Beat 』 には収録されていない。
後に 『 Beat 』 が難産であったこと、メンバーの関係をあっかさせたこと等が明らかになるのだが、この時期ツアーではなくレコーディングのリハーサルをおこなっていたらまた違った結果になったのかもしれない。
(追加:2025年6月10日)
1982/ 2/22 The Second Chance, Ann Arbor, United States New!
音源が発掘されていない前日のライヴを含め3連続公演の3日目、しかも1日2回のライヴの1回目の音源。
ツアー早々に無茶なブッキングがされたものだと思う。 20日の演奏から ” The Howler ” が追加されていたりと、無難に収めようとした演奏ではない。 ただやはり凄さはない。
この時期のクリムゾンの楽曲はフリップとブリューのギターの拍子をずらしながらの絡みが骨格だったが、そうした楽曲がステージ上のインプロとしていきなり出てくることはなかったはずである。 プラスに働く可能性が無かったにもかかわらず強引なブッキングがされたのは、マネージメント側の勘違いとしか思えない。
(追加:2025年6月10日)
1982/ 2/22 The Second Chance, Ann Arbor, United States New!
ミシガン州のセカンド・チャンスでの1日2回のライヴの2回目の演奏を収録した作品。
DGM Live の解説によれば、1回目の演奏が始まったのが夜の9時、となるとこの2回目は日が変わっていたはずである。
1曲目に新曲の ” Absent Lovers ” をもってきたのも、大きな変化をつけることでコンディションの悪さを乗り切ろうとしたのだと思う。 真夜中過ぎということもあり酔客が騒いでいることも録音されているのだが、そんな環境下で集中を切らさないように奮闘していることが判る。
(追加:2025年6月10日)
1982/ 2/25 Landmark Theatre, Syracuse, United States New!
音源化されていないオハイオ州での24日のライヴを挟んで行われたニューヨーク州シラキュースでのライヴを収録した作品。
その前日のライヴでのセットリストは不明だが、この日も ” Absent Lovers ” を1曲目に持ってきている。 『 Beat 』 のコンセプトにそぐわなかったのか最終的に ” Absent Lovers ” に収録されなかったのだが、そもそも楽曲としての完成度が厳しい。 とくに前半パートは音合わせをしているような印象で、これをライヴの頭に持ってこられたら、聴く側としては結構つらかったのではないかと思う。
ライヴ全体はそつ無く進行しているだけに、” Discipline ” を中盤に持っていく必要は無かったと思う。
(追加:2025年6月10日)
1982/ 2/26 Rutgers Gym Rutgers University, New Brunswick, United States New!
カナダに移動して行われたライヴを収録した作品。
オーディオ的に決して良い音ではないのだが、演奏は生々しく各楽器のバランスも整っている。 ブートレグの典型的な褒め言葉を並べたようになってしまったが、実際その通りなので仕方ない。
この時期のライヴは 『 Discipline 』 に収録されていない新曲 ” Absent Lovers ”、” The Howler ”、” Manhattan ”、” Neal And Jack And Me ” の4曲の、このフォーマット演奏する上での座りの良さを模索しているように思える。 そして演奏内容や演奏順を都度都度変更していることから、この段階で既に ” Absent Lovers ” の座りが最も悪かったことが推察される
(追加:2025年6月10日)
1982/ 3/10 Dora Cohen Hall Oxford Poly, Oxford, England
クリムゾンは、1982年になって2月から北米、3月に入って英国でツアーを行っている。 本音源はその英国初日を収録したもの。
『 Beat 』 前ということもあり、前年12月の日本公演と演奏曲に大きな違いはなく、唯一 ” Untitled Instrumental
” とクレジットされた未完の曲が収録されているのが特徴。
ただこの曲はメンバー一人ひとりの手クセ足クセをそのまま繋ぎあわせたような構成であまり面白くない。
めくるめくインプロの応酬が無いことでこの時期のクリムゾンを貶す意見には賛同できないが、ライヴ音源に接した時の新鮮度は確かに低い。
(追加:2013年11月10日)
1982/ 7/30 Live in Philadelphia, PA
本作品は、King Crimson Collectors' Club の26作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2013年11月10日)
1982/ 8/ 2 Live at the Pier, New York
本作品は、King Crimson Collectors' Club の37作品目として販売されたものと同じもの。
(追加:2013年11月10日)
1982/ 8/ 4 Place De Nations, Montreal, Quebec, Canada
演奏曲目構成に変化が乏しいこの時期のクリムゾンだが、サウンドチェック音源が収録されていることでチャーミングな作品となっている。
30分弱にも及ぶサウンドチェック音源は、一人ひとりがバラバラに演奏する正にサウンドチェックから、最終的にはバンド全体で演奏するラフなリハーサルにまで展開している。
本編よりサウンドチェック音源を喜んでいるのは本末転倒だが、この時期の曲の骨格がどうなっているかが判りやすく提示されるだけに、貴重なものだと思う。
(追加:2013年11月25日)
1982/ 8/23 Moscardo, Madrid, Spain
北米ツアーを終えたキング・クリムゾンは、8月20日から1ヶ月強のヨーロッパ・ツアーを行う。 その最初の9回はロキシー・ミュージックの前座として行っており、DGM Live からは6回分がリリースされている。
本作品はスペインのマドリードで行われたロキシー・ミュージックとの3回目のライヴをとらえれいる。 ” Thela Hun Ginjeet ” の後半からの収録で、オープニングで演奏したと思われる ” Waiting Man ” は収録されていない。
EGレコードでの先輩後輩関係も 『 Avalon 』 リリース段階ではセールス面で完全逆転しており、ロキシー・ミュージック目当ての大観衆に呑まれながらの演奏となっている。 ” The Sheltering Sky ” での観衆のやる気の無い手拍子の他、現場ではアウェイを感じることが多かったはずである。 ” Red ” 冒頭でのミスなどその結果だと思わざるを得ない。
(追加:2024年11月25日)
1982/ 8/25 Narcis Sala Stadium, Barcelona, Spain
バルセロナのサッカー場で行われた、ロキシー・ミュージックとの5回目のライヴを収録した作品。
サッカー場とはいえ何万人も収容できるようなキャパは無い。 それでも野外でのライヴだけにビール片手にロキシー・ミュージックの演奏を待っている観衆が多くいたことは、容易に想像がつく。
新作 『 Beat 』 からの楽曲は ” Waiting Man ” だけにして、” Discipline ” を除いた 『 Discipline 』 からの楽曲と ” Red ” と ” ” Larks' Tongues In Aspic Part TWo ” というコンパクトな選曲は考え抜い上でのことだと思う。
(追加:2024年11月25日)
1982/ 8/26 Arena, Cap D'Agde, France
フランスに移動してキャップ・ダグドで行われたライヴを収録した作品。
この日のライヴは1999年に The King Crimson Collectors' Club(当時
は D.G.M. Collectors' Club )の4作品目としてリリースされており、その際 ” Red ” と ” Indiscipline ” は収録されていなかったが、その後 DGM Live からダウンロード販売される際にその2曲が追加された。
私は D.G.M. Collectors' Club からリリースされた際にはこのライヴにあまり良い印象を持っていなかったのだが、DGM Live から前後のライヴを含めてリリースされたことでその印象が大きく変わった。 ロキシー・ミュージックがレコーディングした恩恵で音質が良いのは勿論なのだが、ブルーフォードのはしゃぎっぷりが他の日と大きく異なっているためである。 特に ” Waiting Man ” でブリューとのドラム・デュオを終えた後、場を盛り上げようとするブルーフォードらしからぬ演奏から、観衆の多さに興奮していることが判って面白い。
(追加:2024年11月25日)
1982/ 8/27 Arena, Frejus, France
フレジュスで行われたライヴを収録した作品。 このフレジュスでのライヴは、ディシプリン・クリムゾン活動期にライヴ・アルバムとして発表しようとして頓挫したり、断片的にリリースされたりと様々な経緯を経て、DGM Live からの本作品で初めて全編が披露されたことになる。
全編を通して聴けるようになったこと、そして前後のライヴと比較できるようになったことで、この日はとても端正に演奏していることが判る。 前日のキャップ・ダグドでのハッチャケた演奏とは対極的であり、慎重というより正に端正な演奏を展開している。 危うげな面白さは無いが、安心して聴き続けることができる内容である。
キャップ・ダグドでのライヴと本作品は、セットで聴くことでその楽しみが倍増すると思う。
(追加:2024年11月10日)
1982/ 8/29 Arena, Reggio Emilia, Italy
イタリアに移動してレッジョ・エミリアで行われたライヴを収録した作品。
キャップ・ダグドでのライヴから ” Frame By Frame ” を外して ” Neal And Jack And Me ” を追加していたが、ここでは更に ” それを ” Neurotica ” に変更するとともに、演奏は再びラフな内容に戻っている
ロキシー・ミュージックの前座ということで演奏曲目/曲順の自由度が低かったのかもしれないが、演奏パターンを変更することでバリエーションをつけているようにも思える。 ディシプリン・クリムゾンのライヴについては来日公演があった1981年、1984年のものに思い入れが強いが、こうした作品を聴くと1982年のライヴの充実度も高かったことがよく判る。
(追加:2024年11月25日)
1982/ 8/30 Velodromo Vigoreli, Milan, Italy
ロキシー・ミュージックの前座公演全9回の最後としてミラノで行われたライヴを収録した作品。
このロキシー・ミュージックの前座公演は現在までのところ本作を含め6作品が音源化されているのだが、その中で本作品はあまり面白くない。
他の公演が日替わりで雰囲気が変わることでワクワク感があったのだが、只々普通に演奏をこなしているだけのようで、面白みが無い。
それよりも未だ音源化されていない残り3公演の音質化に期待したい。
(追加:2024年11月25日)
1982/ 9/24 Place Des Sports, Dijon, France
8トラックリールの状態が悪く、復元にあたって困難が伴った作品とのこと。
最善の努力にもかかわらず、” Waiting Man ”、”The Sheltering Sky ”、”Neal And Jack And Me ”、” Heartbeat ” は演奏の一部がかけてしまっている。 意図的なのだろうが、フェイドインすることなくぶつ切り状態でいきなり曲が始まるため、瞬間的には何が起こったのかわからず、スリリングな体験をすることができる。
ただそうした変化球は別として、ブルーフォードのドラム連打から始まる ” Thela Hun Ginjeet ” といった思いがけない収穫もあり、保存状態の良い音源をベースにした完全版での再発を期待したい。
(追加:2014年3月25日)